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終戦直後の山形は、まだ戦禍の余韻が残る中で人々が新たな暮らしを模索していた。
駅前には小さな毛糸屋があり、一人のおばあちゃんが店を切り盛りしていた。彼女は戦争で多くを失いながらも、何とか家族を守り抜こうとしていたのだ。
ある日、おばあちゃんは気づく。店にやってくるお客さんの中には、どうやら医者の奥さんが多いらしい。
終戦後の不安定な時代でも、医者の家庭は比較的安定していると考えた彼女は、娘に安心した暮らしをさせるため、医者の家との縁談を思い立つ。
しかし、その縁が導いたのは、駅前の華やかな医者の家ではなく、田舎の奥深くで静かに開業医をしている一人の男性だった。
不思議なことに、戦後の混乱期には田舎の開業医のほうが物資や食料に融通が利き、むしろ安定した生活を支えやすかったのだ。
こうして、駅前育ちのお嬢さんと田舎の開業医は結ばれ、やがて新たな家族が築かれていった。
そして昭和32年1月22日、その二つの世界をつなぐようにして「僕」が生まれる。
田舎と町、戦後の混乱と新たな日常、その間を生き抜いた家族の物語は、静かでありながらも温かい絆を育んでいったのだった
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